こんにちは。
「大切なマイホームが・・・雨で・・・濡れてしまったぁ・・・(途方もない悲しみ)」
愛するマイホームが雨で濡れてしまった悲しみ、お察しいたします。
基本的に上棟の途中で屋根が完成する前に、木材が雨で濡れてしまうのはよくありません。
ですが、大丈夫ですよ。
この記事では上棟で木材が濡れてしまったときの影響・対策について解説させて頂きます。
不安なお気持ち、少しでも和らげさせて頂ければ本望でございます。
スポンサーリンク
この記事の概要
上棟の雨濡れのトラブルは多い。
まずお伝えしたいことがあります。
それは「上棟のときに雨が降ってしまい、木材が濡れるトラブルは多い」、ということです。
・上棟の途中で雨が降ってきた。急いでブルーシートをかけて、作業を中断した。
・途中で雨が降ってきたけど、上棟を続行した。
・雨が降っているのに、上棟を決行した。
・上棟の中断している休みの日(土曜・日曜など)に雨が降ってしまった。
・上棟途中で工事がストップしてしまい、その間雨ざらしになってしまった。
「これだけ雨が降ってても、上棟するのですかっ!?」とハラハラしてしまう状況でも、上棟を決行してしまう現場もあります。
ある程度は仕方ない。でも「よくあること」ですましてはいけない。
上棟で木材が雨に濡れてしまったときの対応は、ほぼテンプレート化しております。
おそらく、どの現場でのこのやり取りが行われているのではないでしょうか。
「大丈夫」と言われたあなたは、「いや、ぜんぜんダメだろ!?」との心の声を押し殺しつつ、無理に自分を納得させていませんか?
画像引用:NPO住宅110番
たしかに雨の多い日本で家を建てるのですから、現場で木材が雨に濡れてしまうのは、ある程度は仕方のないことです。
それに現場監督の言うとおり、「木は濡れても乾燥させれば、もとの状態に戻る」というのは間違いではありません。
「乾燥させた木材を水に付け込んでも、3~4日室内で乾燥させれば、もとの含水率に戻る」、というデータもございます。
ですので「しっかり乾かせば、大丈夫です。」という言葉はウソではありませんし、必要以上に心配になる必要はありません。
・・・なんですが。
それはあくまでも理論値であり、現場の雨の濡れ方・その後の処置によって被害は変わります。
それにお金を払って家作りを依頼している側としては、大切なマイホームが濡れてしまったのに「大丈夫です」じゃないですよね?
まず言うべき一言は、
「養生が甘くて濡れてしまいました。ごめんなさい。」
でございましょう。
謝ったら負けのゲームでもしていらっしゃるのでしょうかね・・・。
雨で木材が濡れるのは、仕方のないこと。だとしても、雨に濡れない方がいいに決まってます。
それに「仕方がない」「大丈夫」ですませてしまうと、歯止めが効かなくなり、ずさんな対応をする建築会社もいるのも事実。
ですので雨で濡れてしまうのは、「よくあること」ですませてはいけません。
必ずチェック!上棟で家が雨に濡れてしまう影響とは?
「上棟で屋根が完成する前に、雨で木材が濡れてしまった・・・。」
そんなとき、次の影響が考えられます。必ず現場をよくチェックしましょう。
木材が湿る。カビの原因に。
木材が雨で濡れてしまうと湿ってしまいます。十分に乾燥させなければ、カビの原因に。
「新築なのにカビ臭い・・・」という悲しい結果になってしまいます。
木材は雨に濡れても、乾燥させれば問題ありません。
問題なのは、
・十分に乾燥させないで、次の工程に進んでしまったとき。
・木材の接合部で、乾燥させにくい部分が濡れたとき。
・日当たり、風通しの悪い部分が濡れたとき。
でございます。
現場監督が頼もしく「大丈夫です。よくあることですから・・・」とは言っていますが、はたして隅々まで乾燥していらっしゃいますでしょうか?
もし乾燥が不十分ですと木材が湿って、カビの原因になってしまいます。
合板がめくれる。波打つ。
上棟で屋根が完成する前に雨が降ってしまうと、床板がダメになる可能性があります。
床板には合板が使われています。合板とは薄い板を貼り合わせたもので、雨でずぶ濡れになると、
・貼り合わせた板がめくれてしまう。
・表面の板が波打ってしまう。
などのトラブルが起きるからです。
画像引用:ウッチーのブログ
ただし合板には防水タイプ(特類)もあり、「多少」の雨なら乾燥させれば問題になりません。
多少の雨で、しっかり乾燥させればね・・・。
合板の表面の板が波打っても、構造的には問題がないことが多いです。この意味でも現場監督の「大丈夫」は間違いではありません。
しかし合板が波打っていると、
・フローリングが正しく施工できない。
・床鳴りの原因になる。
ということがあります。
現場監督に「これぐらい構造的には大丈夫」と言われても、ぜんぜん大丈夫ではないので、交換して頂きましょう。
床下の基礎に水がたまる。
忘れてはいけないのが、床下です。
上棟の途中でドシャ降りされた場合、振った雨は最終的に床下の基礎に溜まることに。
床下に雨が残っていると、湿気がこもります。
その結果、
・床下の木材がカビる。床がたわむ。
・シロアリに適した環境になり、シロアリ被害に遭いやすい。
などの被害が出てしまいます。
床の合板が濡れたとき同様に、雨を拭き取り、しっかり乾燥させることが大切です。
▽床鳴り、シロアリについては、こちらをチェック!
断熱材が濡れる。
雨濡れによる被害は、木材だけではありません。
断熱材も濡れてダメになることもあります。
とくに注意しなくてはいけないのが、よく使われる断熱材「グラスウール」です。
ガラス繊維を細かく砕いた、繊維系断熱材。断熱効果が高く、厚み・密度が調整できるので、大手~ローコストハウスメーカーまで、広く採用される断熱材。それでいて安い。
グラスウールは安く、断熱性も申し分ありません。隙間なく施工すれば、高い断熱効果が得られます。
・・・ただし!
グラスウールは湿気に弱いのです。
グラスウールは湿気によって断熱性能が落ちてしまいます。しかも一度湿ると乾きにくく、断熱性能が回復しません。
湿ったグラスウールを使い続けると、内部結露の原因にもつながります。
・壁にカビが生える。
・シロアリ被害につながる。
・家の強度が下がる。
上棟途中、もしくは建築途中で雨で断熱材が濡れてしまった場合、慎重な判断が必要です。
安易な「大丈夫」に流されてはいけませんよ。
▽本当に怖い内部結露については、こちら!
工期が伸びる。引き渡しが遅れる。
上棟で屋根が完成する前に雨で濡れてしまったら、工期が伸びて、引き渡しの遅れを覚悟しなくてはいけません。
雨によって濡れてはいけないものが濡れてしまったとき、基本的には新しいモノへの交換が必要です。
そのため今後の対応を決める打ち合わせや、やり直し工事で工期が伸びてしまいます。その結果、予定していた引き渡しが遅れることがございます。
ですが引き渡しの予定をタイトに設定してしまうと、やり直し工事ができません。
しかし賃貸アパートにはすでに解約の連絡をしてしまったし、困りましたぞ・・・。
そのため本来はやり直し工事するべきなのに、「よくあること」「大丈夫」という言葉に流されて、やり直し工事をしないケースがございます。
ですが安易な「大丈夫」に流されてしまうと、入居してからも後悔が残ってしまいますよ。
上棟途中に激しい雨が降ってきたら、最悪の事態を想定しましょう。
やり直し工事が必要になり、引き渡しが遅れる可能性があります。万が一に備えて、早めに行動することが大切です。
上棟がはじまる前に確認しておきたいこと。
上棟で木材が濡れてしまうのは、よくあることです。
しかしだからといって、「あるべきこと」ではありません。雨に濡れなければ、濡れない方がいいに決まってます。
大切なマイホームを雨から守るため、上棟がはじまる前に次の2つは確認しておきたいところです。
上棟のスケジュール。
「上棟で雨に濡れるか?濡れないか?」
これを決める最大の要因は、「天気」でございます。
雨が降れば濡れますし、晴れれば濡れません。イエス、とてもシンプルですね。
だからこそ、上棟のスケジュールはしっかり確認しましょう。
・上棟は何日で終わるか?:上棟は1~2日で終わることが多い。ただし重機が使えない・人員が手配できないと、1~2週間かかる。
・上棟の日程:連続した日程になっているか?土日の休みの日を挟むと、雨で濡れるリスクが高くなる。
・当日の降水確率は何%で中止になるか?:ハウスメーカーによっては、上棟中止の基準がある。
ちなみに大手ハウスメーカーの住友林業では、上棟の直前まで日程を決定しません。
施主のマイホームを想う気持ちが素晴らしいですね。
▽住友林業の神対応の口コミはこちら!
雨濡れ対策、ブルーシート。
上棟中に雨が降ってきたとき・急な雨を防ぐとき、雨濡れ対策としてブルーシートで養生するのが基本です。
「ブルーシートで養生したので、大丈夫です!」と、どの担当者も口をそろえます。
ですがブルーシートの使い方もピンキリで、
・使ったブルーシートが古いもので、穴が開いていた。
・養生が雑で、結局室内に雨が入ってしまった。
・そもそもドシャ降りで、ブルーシートでどうにかなるレベルじゃない。
などのトラブルがあります。
画像引用:MS建築設計事務所
近年のゲリラ豪雨のような雨は、ブルーシートでどうにかなるレベルではないかもしれません。
ですが「シートに穴が開いていて、そこから雨が入ってしまった・・・」とか、お粗末すぎでございます。
雨に濡れて面倒なトラブルに巻き込まれるぐらいなら、いっそのこと新品を調達してもらうのも1つですな。
もし上棟で屋根が完成する前に雨で濡れてしまったら。
では万が一、屋根が完成する前に雨で家が濡れてしまったときはどうするべきか?
もちろん、ハウスメカ―も対応してくれますが、お任せのスタンスではダメですよ。
ハウスメーカーも対応してくれる。でも「お任せ」はダメ。
木材が濡れても、基本的には大丈夫です。基本的には。
ハウスメーカーもセオリー通り、しっかり対応してくれます。
・室内の清掃。
・濡れた場所の換気、乾燥。
・汚れた木材の清掃。
・謝罪。
十分に乾燥させれば大丈夫なのですから、基本的にはこの対応で問題はないはずです。基本的には。
しかし「大丈夫」の根拠はなんでしょうか?
木材の含水率には、基準がございます。
・構造材:20%以下
・造作材:15%以下
「建築基準法の基準値以下だから大丈夫」、なのでしょうか?
ですがハウスメカ―独自で定めている基準もあります。
・住友林業:構造材で、含水率15%以下(スーパー檜)
・三井ホーム:構造材で、含水率19%以下(KD材)
ハウスメーカーに濡れた木材の含水を計ってもらい、報告書を出してもらうのが1番安心です。
記録を残す(写真+打ち合わせ記録)。報告書を出してもらう。
ずぶ濡れになってしまったマイホームを見るのも辛いこと。
ですが今後のために、濡れてしまった現場の写真をたくさん撮っておきましょう。
雨に濡れた直後はもちろん、乾燥していく経過も写真での記録をおすすめします。
また現場監督・営業担当との打ち合わせは、すべて記録し、ノートにメモしてくださいませ。
これらの記録は、今後なにかの不具合が起きたとき、必ず役に立ちます。
事実関係・対応した履歴を記録することで、今後起きるかもしれない争いでの強力なカードになります。
それでも事実関係を証明できるモノがあるのは、大きな強みでございます。
念書を書いてもらう。
「なにかあったとき、保証しろ!」
と、強く迫るものではありません。
ただ先ほどの事実関係の証明の1つとして、念書を書いてもらうことをおすすめします。
書いてもらう内容として、
・1年点検・2年点検で、床下の濡れた箇所を点検すること。
・床下点検口からの目視ではなく、きちんと床下に潜って確認すること。
・5年以内に雨に濡れた部分からカビの臭いが発生したとき、原因を調査すること。
今後のメンテナンスを約束してもらうと安心です。
水浸しのマイホームを見ると、頭が真っ白になってしまいます。
その場のやり取りだけで「大丈夫です」「分かりました」と返答してしまうと、残された不安がのちのち大きくなることに。
口約束だけですませないで、書面に残すことをおすすめします。
含水率を測定するテスターを買っておこう!(意外と安い)
雨で木材が濡れてしまったとき、手元に水分計があると便利です。
ハンディサイズで持ち運び簡単のタイプなら、1個2,000円弱で買えますよ。
ただし簡易的な水分計では、木材の表面の水分しか測定できません。
木材の水分を厳密に測るには、乾燥重量を比較する必要があります。(手間も機器もかかる)
とはいえ、ハンディタイプでその場で水分を測定できるのは、1つの目安になります。
こいつは・・・ヤバいフラグが立っておりますぞ・・・。
今後の対応を決める1つの指標として、手元に置いておくと安心です。
▽木材の含水率計。基礎のクラックスケールと合わせてもっておきたいところです。
まとめ:「大丈夫」の言葉だけに安心しないで。
上棟で屋根が完成する前に雨が降ること。雨の多い日本ではよくあることですし、仕方ないことかもしれません。
ですが「よくあること」「仕方ない」ですませてしまうと、残されたしこりがやがて大きな不安になってしまいます。
ですので「大丈夫」と過信しないで、よくよくチェック&確認することが大切です。
上棟で雨が降ってきたときのチェックポイント
・床の合板がどれくらい濡れたか?
・断熱材は濡れてないか?
・基礎に水は入ってないか?
・引き渡しの日程に余裕はあるか?
もちろん、上棟で雨に濡れないようにするための工夫も必要です。
上棟がはじまる前に、
・上棟の日程
・雨が降ってきたときの対策
は必ず確認しておきたいところ。
しっかり事前に確認して、雨が降っても落ち着いて対処できるようにしたいですね。
それでは、また!
▽欠陥住宅・保証問題については、こちらもチェック!
なぜなら木材は、「多少」濡れても大丈夫のように作られているからです。
それに、まだやれることは残されておりますよ。