「・・・え?ウソでしょ・・・!?」
「まさか・・・どうしてあなたがグラスウールを採用しているの・・・!?!?」
こんにちは。
お気に入りのハウスメーカーに採用されている、断熱材がグラスウールだったとき。あなたは膝から泣き崩れませんでしたか?
・・・イエス、そのお気持ちよく分かります。
なぜならグラスウールの評判・口コミは悪く、「ローコストな断熱材」としてのイメージが定着しているからです。
しかし採用されている断熱材がグラスウールだからといって、肩を落とすのは早すぎでございます。
「安くて性能の高い断熱材」・・・最高じゃないですか。
ですがグラスウールを採用するとき、注意すべきデメリットもございます。
そこでこの記事では、
・グラスウールの特徴。
・グラスウールのメリット、デメリット。
・グラスウールを採用しているハウスメーカー一覧。
について、解説させて頂きます。
正しい知識を持てば、グラスウールのイメージが変わります。
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この記事の概要
グラスウールとはどんな断熱材?特徴は?
グラスウールはよく知られた断熱材です。
しかしグラスウールのことを、詳しく知っている方は少ないでしょう。
・ガラス繊維を細かく砕いた断熱材。
・細かい繊維の間に空気を閉じ込めて、断熱性能を発揮する。
・ロール状に丸まったタイプ、袋詰めされたタイプがある。
・ガラス繊維の細かさによって、グレードがある。(繊維が細かいほど、断熱性能は高い)
・ガラス繊維の密度によって、グレードがある。(密度が高いほど、断熱性能は高い)
【グラスウールのグレード】
メーカー:旭ファイバーグラス
材質 | 密度 | 熱伝導率(W/m・k) |
グラスウール | 10K | 0.050 |
グラスウール | 16K | 0.045 |
グラスウール | 24K | 0.038 |
高性能グラスウール | 10K | 0.043 |
高性能グラスウール | 16K | 0.038 |
高性能グラスウール | 24K | 0.036 |
高性能グラスウール | 32K | 0.035 |
一般のグラスウールよりも、ガラス繊維の径が細いものを使ったタイプ。より多くの空気を捕まえられるので、断熱性が高い。
ちなみに、ほかの断熱材と熱伝導率を比較してみました。
熱伝導率 | |
グラスウール | 0.050~0.35 |
ウレタンフォーム | 0.040~0.023 |
フェノールフォーム | 0.040~0.020 |
乾燥空気 | 0.024 |
熱伝導率をパッと見ても、グラスウールが飛びぬけて悪いようには見えません。
▽断熱材の種類については、こちらで詳しく解説しています。
なぜグラスウールはダメなのか?
グラスウールのスペックを見てみても、そこまで悪くいわれる理由が見つかりません。
ではなぜ「グラスウールはダメだ!」と言われてしまうのでしょうか?
残念ながら、次の3つの理由が考えられます。
1・安い断熱材だから、性能も低い、というイメージ。
「グラスウールはダメだ。性能の低い断熱材だ。」
そう思われてしまうのは、グラスウールが安い断熱材であることが原因です。
グラスウールは安く仕入れられる断熱材で、ローコストハウスメーカーでよく採用されています。そのため
「安い断熱材」
「ローコスト住宅で使われている」
というイメージが先行してしまい、「グラスウール=安くて性能の低い断熱材」というイメージが広がってしまったのです。
これは・・・すごくもったいないですな。
グラスウールの本来のスペックを比較することなく、イメージで判断してしまう。
人は見た目で8割判断してしまうように、断熱材もイメージだけで判断してしまうのです。
2・ナミダダケ事件により、「グラスウール=内部結露」のイメージが定着。
「断熱材がダメだ」と言われるのは、イメージだけではありません。
グラスウールは過去に大きな問題を起こしてしまい、そのときの事例から「グラスウールはダメだ」と言われてしまうのです。
グラスウールが起こしてしまった問題は、内部結露です。
壁の内側で結露が起きてしまい、壁・柱・土台が腐ってしまう、カビてしまうこと。
日本で高気密・高断熱の住宅が普及した当初、採用されたのはグラスウールでした。
しかし施工方法に問題があり、壁の内側でカビが発生する内部結露が起きてしまったのです。
1980年の北海道でおきたナミダダケ事件(内部結露で新築の家にきのこが発生した)は、衝撃すぎました。
画像引用:北海道住宅新聞社
そのとき使われていた断熱材が、グラスウール。
グラスウールが原因で内部結露になったと言われても、反論の余地がございません・・・。
過去に起こした強烈なイメージは今も語られ、「グラスウール=ダメな断熱材」と思われてしまうのです。
3・施工が雑で隙間があると、内部結露になる恐れがある。
グラスウールの問題は、完全に解決されたわけではありません。
グラスウールは施工性が難しく、丁寧に作業しなければ隙間ができがちです。
もし断熱材にすき間が空いていると、内部結露の原因となってしまうのです。
現在では丁寧に隙間なく施工できるマニュアルも整備され、作業者のレベルも上がりました。
しかし実際に作業する現場の1人1人まで、正しい施工が行き届くまで時間がかかります。それに手抜き工事されては元も子もありませんし。
▽内部結露のリスクについては、こちらでまとめています。
グラスウールの本当のメリットは4つある。
ダメな理由を聞かされると、なんだか本当にダメな気分になってしまいます。
ですがグラスウールがこれだけ普及しているのは、それ相当のメリットがあるからです。
グラスウールには、次の4つのメリットがございます。
メリット1:断熱性能が高く、コストが安い。
グラスウールのメリットは、断熱性能が高く、それでいてコストが安いことです。
つまりカタログスペック的には、「最高じゃん!」ということになります。
前述したとおり、グラスウールの断熱性能は低くありません。
断熱材の熱伝導率 | |
グラスウール | 0.050~0.35 |
ウレタンフォーム | 0.040~0.023 |
フェノールフォーム | 0.040~0.020 |
乾燥空気 | 0.024 |
それでいて、グラスウールの価格は安いのです。
こちらはグラスウールメーカー:マグ・イゾベール社から公表されているデータです。
画像引用:マグ・イゾベール
断熱性能あたり価格指標比較 | |
高性能グラスウール | 100 |
硬質ウレタンフォーム | 175 |
押出法ポリスチレンフォーム | 180 |
発泡ポリスチレン | 260 |
それぞれの断熱材が同じ性能を実現するためのコストを計算してみると、グラスウールが抜群に低い(つまりコスパが高い)ことが分かります。
・安く入手できる。
・広く普及している。
・施工できる業者が多い。
・それでいて、断熱性能が高い。
・しかも分厚く施工できる。
というメリットもあり、グラスウールの普及の一因となりました。
メリット2:不燃性なので燃えない。
断熱材の中には燃えやすかったり、燃えたときに有毒ガスが出るもの(ウレタン系断熱材)があります。
しかしグラスウールは原料がガラス繊維(不燃性)なので、燃えません。燃えないので、有毒ガスも出ません。
そのため火災での延焼が防げますし、煙が出ないので安全です。
断熱性が高いだけでなく、火災が起きたときの安全性が高いのも、グラスウールのメリットでございます。
メリット3:防音性が高い。吸音材として使える。
繊維系断熱材であるグラスウールは、ふわふわした繊維の中に多くの空気を閉じ込めています。
ふわふわした繊維が音を吸収するので、グラスウールは防音室の吸音材としても使われています。
画像引用:旭ファイバーグラス
こちらはグラスウールを施工した壁との防音を比較したグラフです。各周波数ともに、およそ5~10dbの防音効果があることが分かります。
グラスウールを使った、防音性の高い内装仕上げ材もございます。(イアルマグウォール)
画像引用:マグ・イゾベール
こちらの内装材は、グラスウールをガラスコーティングしたものです。会議室・応接室・音響ルームなどの防音に使われています。
グラスウールが防音材として使われているのがよく分かりますな。
▽防音室を作りたいなら、グラスウールがおすすめです。
メリット4:防蟻性が高い。
ご存知ですか?
断熱材って、防蟻(ぼうぎ)性も大切なのですよ。
シロアリ被害に対する抵抗のこと。かじられにくい素材、防虫剤が含まれているなどの対策のこと。
なぜなら断熱材の防蟻性が低いと、断熱材がシロアリにかじられてしまい、シロアリの通るルートになってしまうからです。
その結果、断熱材がシロアリ被害の拡散ルートとなってしまい、シロアリの食害が家中に広がってしまいます。
とくに発泡ウレタンのように柔らかい素材はシロアリ被害に弱く、シロアリの侵入ルートになりがちです。
ですがグラスウールなら、その心配はございません。
ガラス繊維でできたグラスウールは、シロアリの食害に強く、簡単にシロアリを通さないからです。(ただしシロアリはコンクリートでさえかじる習性があるので、被害はゼロとはいえません)
ですが「防蟻処理なしでも、シロアリに強い」というのは、大きな安心ですよね。
やっぱり気になる、グラスウールのデメリット。
安くて断熱性の高いグラスウール。
それだけ見れば「なんだ、最高かよ?」と思いがちですが、いいえ、やはりデメリットもございます。
デメリット1:施工で隙間ができやすい。
グラスウールの最大のデメリットは、施工で隙間ができやすいことです。
壁の内側にグラスウール(マット状・袋状)を押し込む施工方法では、次のような場所で隙間ができやすくなってしまいます。
・コンセントボックスのまわり。
・筋交いの周辺。
・間取りのコーナー部などの小さな隙間。
・天井の間仕切り壁の取り合い部分。
画像引用:旭ファイバーグラスカタログ
もちろん、丁寧な施工をすれば問題はありません。・・・丁寧な施工さえすれば・・・ですが。
しかし人の手が加わる以上、「絶対に間違えない」という保証はございません。
それに疑っては申し訳ないですが、施工する業者のモラルが低く、手抜き工事をしてしまう可能性だってありますからね。
施工方法そのものに隙間ができやすく、作業者の技術・モラルに左右されがち。
これがグラスウールのデメリットでございます。
デメリット2:水に弱く、濡れてしまうと断熱性能ダウン。
「グラスウールは水に濡れてしまうと、なかなか乾かない」、というありがたくない性質がございます。
そのため一度グラスウールが湿ってしまうと、繊維の中に水分が入ってしまい、断熱性能が低下することに。
濡れて性能が低下したグラスウールは、内部結露の原因となり、さらに湿って性能が低下していく・・・という悪循環。
これでは壁の中からキノコが生えてくるのも、時間の問題でございます。
デメリット3:防湿施工が必要で、丁寧な作業が求められる。
グラスウールは湿気で湿ってしまうと、断熱性能が低下してしまいます。
ですので防湿フィルム(シート)を貼って、グラスウールを湿気から守ることが大切です。
マット状のグラスウールを施工する場合は、敷きつめたグラスウールの上から防湿シートでカバーします。
画像引用:設計島建設事務所
袋状のグラスウールの施工ですと、袋そのものが防湿シートになっています。ですので改めて防湿シートを貼る必要はありません。
ただし袋入りグラスウールの袋を重ね合わせて施工する必要があり、丁寧な作業が求められます。
画像引用:設計島建設事務所
こちらの施工例。よくよく見ると、グラスウールの袋が重なり合っていません。ですので隙間から湿気が漏れてしまいます。
細かいところまで正しく施工しなくてはいけないのですな。
グラスウールを採用してるハウスメーカーはどこ?
グラスウールにあるデメリットは、近年の技術開発で克服しつつあります。
そのため大手ハウスメーカー~ローコストハウスメーカーまで、多くのハウスメーカーでグラスウールが採用されるようになりました。
ですので気に入ったハウスメーカーがグラスウールを採用していても、肩を落とす必要はまったくありません。
グラスウールを採用している大手ハウスメーカー。
テレビCMで知名度の高い、大手ハウスメーカー。高い坪単価に見合ったハイスペック住宅を建てています。
ですが採用されている断熱材は、グラスウールが多いのですよ。
・積水ハウス
・セキスイハイム
・大和ハウス(外断熱+内断熱)
・パナソニックホーム
・ミサワホーム
・住友林業
逆にグラスウールではない大手ハウスメーカーは、
・三井ホーム(ロックウール)
・ヘーベルハウス(フェノール樹脂系)
となっております。
▽大手ハウスメーカーを徹底比較した記事はこちら!
グラスウールを採用している中堅ハウスメーカー
地元に根差した活動をしている中堅ハウスメーカー。別の名を「地元ビルダー」。
やはり断熱材でグラスウールを採用しているハウスメーカーは多いですよ。
・住友不動産
・ヤマダホーム(ウレタンも選択可)
・トヨタホーム
・スウェーデンハウス
逆にグラスウールを採用していないハウスメーカーはこちらです。
▽中堅ハウスメーカー(地元ビルダー)を隅々まで比較した記事はこちら!
グラスウールを採用しているローコストハウスメーカー。
「グラスウールは安い断熱材。だからローコスト住宅に採用されている断熱は、グラスウールに決まっている!」
・・・と思いますよね?
もちろん、グラスウールを採用しているローコストハウスメーカーも多いです。
・アイダ設計(ウレタン吹付はオプション)
・アキュラホーム
・タマホーム
・レオハウス(吹付断熱も選択可)
・クレバリーホーム
ですがローコストでも、グラスウールを採用してないハウスメーカーもいます。
・アイフルホーム(フェノールフォーム)
・アエラホーム(外断熱+ウレタンフォーム吹付)
・ユニバーサルホーム(発泡ウレタン吹付)
「グラスウール=安くて性能が悪い」とのイメージがありましたが、大手でもグラスウールは採用されますし、逆にローコストでグラスウールでなかったりします。
大切なのは「グラスウールか?」だけで判断せず、
・どんなグラスウールを(繊維径・密度・厚み)
・どれだけ丁寧に施工できるか?
がポイントになります。
▽ローコストハウスメーカーの比較はこちら!
まとめ:グラスウールは安くて断熱性能が高い。
グラスウールは安くて性能が低いと思われることが多いですが、いいえ、ちがいますよ。
正しくは、「安くて性能が高い」でございます。
・断熱性能が高く、コストが安い。
・不燃性なので燃えない。
・防音性が高い。吸音材として使える。
・防蟻性が高い。
・施工で隙間ができやすい。
・水に弱く、濡れてしまうと断熱性能が低下する。
ただし無視できないのが、施工の難しさ。吹付や外断熱に比べると、隙間ができやすいデメリットがございます。
しかし最近は技術開発・作業者のレベル向上により、デメリットは解消しつつあります。
グラスウールを採用しているからダメ、ということはございません。
ぜひフラットな視点でハウスメーカーを選びましょう!
素敵な家作りを。それでは、また!
7割の方が10社以上のカタログを請求しています。
家作りは情報収集が肝心です。
約7割の方が10社以上のハウスメーカーのカタログを請求し、比較・検討しています。(SUUMO調べ)
マイホーム購入は人生でもっとも大きな買い物ですので、納得するまでハウスメーカーを選びたいところ。
ハウスメーカーのカタログを取りよせるなら、LIFULL HOME’S 注文住宅<無料>がおすすめです。
1回の入力で複数のハウスメーカーのカタログが請求できます。営業される心配もないので、自宅にいながらゆっくりカタログが眺められますよ。
今のうちにカタログ・資料を請求しておいて、あなたと家族が笑顔になれるマイホームを手に入れましょう!
✔営業マンに会うことなく、カタログだけゲットできる。
✔1回の入力で、大手ハウスメーカー~地元工務店までのカタログが一括請求できる。
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▽断熱材については、こちらもチェック!
なぜならグラスウールは、安くて性能の高い断熱材だからでございます。