こんにちは。
「せっかくの注文住宅の家作り、寒い家だけはぜったいイヤだーッ!!」
と思う方、多いですよね?
寒い家がおきらいでしたら、家の断熱性能にこだわるしかありません。
・・・ですが、ご存知ですか?
「断熱性能を高める=分厚い断熱材で囲む」だけではダメなのです。窓が重要なのですよ、窓が。
そこでこの記事では、断熱性の高い家作りをするための
・断熱性の高い窓、サッシの種類と特徴・メリット・デメリット
・窓、サッシの選び方の注意
について解説させて頂きます。
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この記事の概要
家の断熱は窓で決まる!
「家の断熱は窓で決まる!」
と言われても、内心「本当に?」と思いませんか?
たしかに窓は面積が小さいので、窓よりも外壁の方が断熱に影響を与えそうだと感じるのは当然です。
しかし本当に断熱は、窓が重要なのですよ。
なぜなら家の熱は、窓から50%も流出するからです。(1999年の省エネモデルで建てた家の場合)
画像引用:日本経済新聞
どうりで窓際に座ると冷え冷えするはずですな・・・。
窓は「開口部」ともいわれ、断熱材で包まれない無防備なゾーンです。
面積こそ狭いですが、家の熱は無防備な窓からどんどん出ていくのです。その割合、50%でございます。
ですので、断熱材だけしっかり選んでも意味がないのです。
家の熱の50%は、窓から逃げてしまうので、窓の断熱が大切です。
断熱性の高く暖かい家を作るならば、窓の断熱性を高めることこそ必要でございます。
サッシと窓ガラスで、断熱性能が変わる。
窓の断熱性能は、サッシと窓ガラスの種類で決まります。
・サッシ(窓のフレーム部分)の材質
・窓の枚数(1枚ガラス、ペアガラス、トリプルガラス)
・複層ガラス間に入ってるガスの種類(空気、アルゴンなど)
・ガラス表面のコーティングの種類(low-eガラス)
面積の大きいガラスだけでなく、ガラスを囲むフレーム部分(サッシ)も重要です。
サッシに結露ができるのは、それだけサッシから熱が奪われているからです。
窓の断熱を高くしても、サッシが熱を通しやすいアルミサッシのままでは、まだまだ断熱性が高いとはいえません。
断熱性はサッシで変わる!
断熱性の高い家を実現するには、断熱性の高いサッシ(窓枠)を選ぶことが大切です。
日本ではアルミサッシが広く普及していますが、アルミサッシの断熱性はミジンコほどもありません。
注文住宅で選べるサッシは、次の種類・特徴、メリット・デメリットがあります。
アルミサッシ:安くて錆びにくいが、結露する。
もっともポピュラーなサッシといえば、「アルミサッシ」でございます。
いわゆる「サッシ」と言えば、「アルミサッシ」を指すほどの定着ぶりです。
アルミサッシの特徴は、
・安くて、加工しやすい。
・錆びにくく、10年たっても滑らかなすべり心地!
・しかし断熱性が低く、結露する。
でございます。
日本ではアルミサッシが普及する前は鉄枠のサッシや、木製のサッシが使われていました。
ですが鉄製はサビたり、従来の木製サッシは滑りが悪かったこともあり、アルミサッシは使い勝手のいいモダンな建材として急速に広まったのですよね。
しかしアルミサッシは断熱性が致命的に低く、冬に結露して水滴でびしょびしょになるのは、もはや風物詩です。
アルミの熱伝導率(ラムダw/m・k)は非常に高く、熱を通しやすいです。
【建材の熱伝導率(ラムダw/m・k)】
・断熱材:0.05以下
・木:0.15
・塩ビ:0.17
・ガラス:0.8
・アルミ:236
※いずれも数値が高いほど、よく熱を通す。(つまり断熱できない)
近年の住宅業界が「高気密・高断熱化」によって、アルミサッシのポジションも変わり、今では「断熱性の低いサッシ」のハンコを押されてしまいました。
ですがアルミサッシは安いので、建売住宅やローコスト住宅でよく使われています。
樹脂サッシ:近年広まった断熱性の高いサッシ
アルミサッシに変わるサッシとして注目されているのが、樹脂サッシです。
樹脂(塩ビ)の熱伝導率は、前述のとおり0.17であり、これはアルミサッシの1,388倍の断熱性でございます。
つまり樹脂サッシは、アルミの1/1,388の熱しか通さないことです。
断熱性に関して言えば、アルミサッシは樹脂サッシの足元に及びません。
しかし樹脂サッシにもデメリットがあります。
・アルミサッシより価格が高い。
・アルミサッシより重い。
・紫外線によって劣化する。
価格・耐久性ではアルミサッシには勝てません。
ですが近年紫外線に耐久性のある樹脂も開発されており、このデメリットも克服しつつあります。
木製サッシ:断熱性は高いが、再塗装が必要。
あまりなじみはありませんが、木製サッシもございます。
木製サッシとは、アルミ・樹脂の代わりに木枠のフレームに窓をはめ込むものです。
木という材質は断熱性が高く(熱伝導率0.15)、家の熱を逃がしません。
しかし木製サッシのデメリットは、
・定期的な再塗装が必要。
・加工が難しい。
・価格が高い。
・劣化しやすく、窓のすべりが悪くなる。
などがあります。
複合サッシ:アルミ・樹脂・木を組み合わせて使う。
近年登場したのが、アルミ・樹脂・木の素材の組み合わせた「複合サッシ」です。
たとえば「アルミ・樹脂複合サッシ」では、
・サッシの外側がアルミ
・サッシの内側が樹脂
と、素材を組み合わせて作られています。
画像引用:YKK公式
アルミの耐久性を活かしつつ、樹脂の断熱性があるので、家の熱を逃がしません。
ガラスの枚数・表面コーティングで変わる断熱性能!
窓から逃げる熱を減らすには、ガラスの枚数を増やすことが効果的です。
1枚ガラスよりも、ペアガラス。
ペアガラスよりも、トリプルガラス。
ガラスの間に空気を閉じ込めることで、熱の移動を遮断し、断熱性を高めています。
注文住宅では、
・1枚ガラス
・ペアガラス
・low-eガラス
・トリプルガラス
が選べます。
それぞれの特徴を解説させて頂きましょう。
1枚ガラス。
わざわざ注文住宅のマイホームで選ぶ方もいないとは思います。
しかし賃貸アパートで1枚ガラスのお世話になった方も多いのではないでしょうか?
1枚ガラスの断熱性は非常に低く、窓一面に結露がびっしりとつくのは日常茶飯事。
私が住んでいた実家、賃貸アパートでは1枚ガラスでしたので、心の底から寒かったです。
しかし今やペアガラスが普及し、一軒家での普及率は96.7%、賃貸アパートでも76.1%と、ほとんどの家庭でペアガラスとなりました。(2015年板硝子協会調べ)
わざわざ注文住宅で1枚ガラスを選ぶ理由はございません。
ペアガラス:閉じ込めた空気で断熱する!
注文住宅でマイホームを建てるときの標準プランは、ペアガラスです。
ペアガラスはガラス2枚の間に空気を閉じ込めることで、断熱性を高めています。
空気の熱伝導率は0.02(乾燥空気)であり、空気は非常に優秀な断熱材なのです。
そのため「1枚ガラス→ペアガラス」にしたときの断熱性が飛躍的に上がるので、感動のあまりに涙を流す人が絶えません。
しかしペアガラスにしても、結露問題は起こります。
とくにサッシがアルミサッシのままでは、サッシ部分が激しく結露します。
ペアガラスの結露でお悩みの方は、もしやサッシが原因かもしれません。
またガラスの間に空気よりも断熱性が高いガス(アルゴンガス)を注入したタイプもあります。
ガラス表面に金属コーティングをした、「Low-Eガラス」
「ろーいーがらす」(Low-Eガラス)
窓ガラスに詳しくない方でも、この名前を一度は聞いたことあるはず。
Low-Eガラスとは「Low-Emissivity(放射率)」のことで、表面に銀などの薄い金属コーティングをすることで、ガラスからの熱ロスを大幅にカットしたガラスです。
Low-Eガラスが注文住宅業界に登場したときは非常に高価で、なかなか手の届くガラスではありませんでした。
しかし最近はLow-Eガラスの価格も下がり、一軒家への普及率は80%にも達しました。
わが家は依然としてペアガラス!く、くやしい・・・!!
私が家を買ったのが5年前。住宅業界の進歩は目覚ましいものがあります。
しかしLow-Eガラスにもデメリットがあります。
Low-Eガラスはガラスに金属コーティングをしますが、「なんの金属をコーティングするか?」によって性質が変わります。
・銀系のコーティング:近赤外線を防ぎ、太陽の熱を室内に入れない。
・亜鉛系のコーティング:近赤外線を通し、太陽の熱を室内に取り込む。
冬の日差しを取り込む南向きの窓は、太陽の熱を室内に取り込む「亜鉛系」がおすすめです。
もし南向きの窓に太陽の熱を遮る「銀系」のLow-Eガラスをつけてしまうと・・・
さ、寒い・・・。
断熱性が高くても、寒い家になってしまいます。
さらに付け加えさせて頂きますと、金属コーティングをガラスの室内側・外側のどちらにするかによっても、太陽の熱の取り込み方が変わります。
・室内側のガラスに金属コーティング:太陽の熱が取り込みやすい。
・外側のガラスに金属コーティング:太陽の熱が取り込みにくい。
Low-Eガラスは選び方によって断熱性に差が出ることをお忘れずに。
さらにガラスを3枚にしたトリプルサッシも登場!
ここまでガラス2枚、ペアガラス前提でお話させて頂きましたが、窓ガラスを3枚にしたトリプルサッシも登場しました。
・ペアガラスよりも高い断熱性。
・Low-Eガラスを複層(2枚)にもできる。
・価格が高く(一軒家の場合、+100万円程度)、コストが回収できない。
北海道などの寒冷地では「Low-Eガラスでも寒い!結露が発生する!」となるケースもあり、トリプルサッシにすることで暖かい家が作れます。
しかしながら依然として価格は高いので、電気代を節約して元手を取るのは難しい状況です。
窓の断熱性は大切。でも換気すると断熱効果が弱くなる。
家の熱は、窓ガラスから逃げていきます。
ですので、窓の断熱性を高くするのはとても重要です。
・・・というのは理論上のことでして、実は「換気」という問題を考えなくてはいけません。
平成15年から改定施行された建築基準法により、1時間に0.5回以上の換気が義務付けられました。
これはつまり、2時間に1回、家の空気が入れ替わる計算になります。
さらに無視できないのは、窓は断熱だけでなく、「換気」の役割もあることです。
冬だけど、窓全開にしま~す♪(ガラガラガラ・・・)
窓の断熱をよくしても、窓を開けてしまえば元も子もないですからね。
とは言え、「窓を開けるな!」というのも無理な話でございます。
あまり「断熱!断熱!高断熱!」と視野を狭くせず、バランスのいい妥協点で選ぶことをおすすめします。
まとめ:窓の断熱は大切。でもバランスよく選びたい。
「せっかくのマイホーム、暖かい家にしたい!」
と思う方は多いでしょう。
暖かい家にするならば、窓の断熱性は無視できません。
窓の断熱は、サッシとガラスで決まります。
【サッシ】
・アルミサッシ:安くてサビにくいが、結露する。断熱性能低い。
・樹脂サッシ:近年広まった、断熱性能が高いサッシ。
・木製サッシ:断熱性は高いが、再塗装が必要。
・複合サッシ:アルミ・樹脂・木を組み合わせて使ったサッシ。
【窓ガラス】
・1枚ガラス:断熱性が瀕死。懐かしい。
・ペアガラス:ガラスの間の空気で断熱。優秀。一軒家の普及率は97%。
・Low-Eガラス:ガラスに金属コーティングし、熱を逃がさない。一軒家の普及率74%。
・トリプルサッシ:寒冷地で活躍。圧倒的断熱性と価格。
暖かい家には窓の断熱が必要です。
・・・とは言いましても、窓には「換気」という役割もございます。
断熱性能だけを追求するのではなく、自分がもとめる理想の暮らしにあわせてバランスよく選ぶのが大切ですよ。
素敵な家作りを。それでは、また!
家の断熱性能は、窓で決まります。とくに窓枠のサッシは超・重要でございますよ。