布基礎vsベタ基礎!強度が高いのはどっち?ベタ基礎の最大のデメリットとは?

こんにちは。

 

「布基礎?ベタ基礎?どっちがいいの?」

 

というご質問。本当に多いですよね。

ひと昔前なら迷うことなく「ベタ基礎でしょ!」と答えるのがベターでしたが、最近の布基礎はこれまでのデメリットを克服しつつあります。

ですので一概に「ベタ基礎が安心!」とは言い切れませんし、「布基礎だからダメ!」とも言えません。

 

この記事では、

・布基礎、ベタ基礎の構造の違いと特徴。

・布基礎がダメだと言われる理由。その対策について。

・布基礎とベタ基礎、どちらがおすすめか?

について、解説させて頂きます。

結論を先に申し上げますと、布基礎・ベタ基礎のどちらでも問題ありません

ただし諸々の問題を考えると、「ベタ基礎の方がベターかな?」と思います。(しゃれではありません)

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布基礎・ベタ基礎の特徴・構造とは?

家の土台となり、家をしっかり支える基礎。

基礎には、布基礎・ベタ基礎の2種類があり、以前は布基礎が主流でしたが、現在ではベタ基礎がメインとなりつつあります。

 

布基礎の特徴・構造

布基礎とは昔からある基礎の工法で、T字を逆さまにした「凸」の形をしたコンクリートを使います。

土台の周囲だけ、凸型のコンクリートの柱を連ねて立てていきます。

布基礎

昔ながらの布基礎

こちらは、いわゆる昔ながらの布基礎です。

土台の下に凸の形のコンクリートがありますが、地面はむき出しです。

ですので、布基礎のメリット・デメリットとして、次のようなことが言われていました。

布基礎のメリット

・ベタ基礎に比べて工事費が安い。

・局所的な荷重に強い。

布基礎のデメリット

・防湿対策をしないと、地面からの湿気で床が腐る。

・しっかり地盤を補強しないと、不同沈下のおそれ。

昔ながらの布基礎のデメリットは、とにかく湿気に弱かったこと。地面がむき出しだったので、地面からの湿気で床板が腐りやすかったです。

腐った木材はシロアリの大好物で、布基礎の家はシロアリの格好の標的になりました。

うちの実家も布基礎でしたが、晩年は床下が腐って大変でしたね・・・。シロアリも出ましたし。

地面がむき出しですから。シロアリだけでなく、G(ゴキブリ)やM(ムカデ)なのどの害虫も侵入し放題。

布基礎と聞くと、このような悪しき記憶を思い出してしまう方も多いのではないでしょうか?

 

ですが時代は変わりました。今は令和でございます。

最近の布基礎は湿気対策として、防湿シートや防湿コンクリートを施工するケースが増えました。

布基礎 防湿シート 構造

防湿シートを貼った布基礎

布基礎 防湿コンクリート

防湿コンクリートを施工した布基礎

これによって、地面からの湿気をシャットアウト。従来の布基礎のデメリットを克服できたのです。

 

現在では大手ハウスメーカーを中心に、布基礎が採用されています。

布基礎を採用しているハウスメーカー

・積水ハウス

・ミサワホーム

・ダイワハウス

・パナソニックホーム

・ヘーベルハウス

・一条工務店など

どちらかというと、鉄骨造のハウスメーカーは布基礎を採用していますね。

余談ですが、布基礎の「布」とは建築用語で「水平に連続している」という意味だそうな。

これ知らないと、「布ってなに?シルクなの?麻なの?」と勘違いしますよね。

 

ベタ基礎の特徴・構造

最近のベタ基礎

最近主流のベタ基礎。地面をコンクリートで覆うので、湿気が防げる。見た目も白く、なんか強そう。

問題の多かった布基礎に変わって登場したのが、ベタ基礎でございます。

凸型のコンクリートで土台の周囲を囲んだだけの布基礎に対し、ベタ基礎は地面もコンクリートで固めます

ベタ基礎の構造

ベタ基礎の構造

ベタ基礎は地面までコンクリートで固めるので、床下は地面と接しません。

そのため湿気を防ぎ、害虫(シロアリ・ムカデなど)も侵入しずらい構造となっています。

床下空間がまるで室内のように快適になったので、基礎を断熱する「基礎断熱」も登場しました。

 

ベタ基礎は家の重みを地面全体で支えるので、布基礎よりも不同沈下に強いです。少し地盤が弱くても、ベタ基礎なら問題なく建てられます。

その結果、

「布基礎よりベタ基礎の方が安定するし、湿気にも強い。」

「じゃぁ、もうベタ基礎の一択でいいんじゃない?」

 

というベタ基礎神話が登場し、またたく間にベタ基礎のムーブメントが起こりました。

ベタ基礎のメリット

・基礎全体で荷重を受け止められる。

・不同沈下に強い。

・地面からの湿気がない。

・床下がコンクリートのため、メンテナンスしやすい。

ベタ基礎のデメリット

・布基礎に比べて費用が高い。

とくにデメリットのないベタ基礎。

しいてデメリットをあげるなら、布基礎よりも使用するコンクリートが多いので施工費が高くなる、ことぐらいでしょうか。

布基礎・ベタ基礎のメリット・デメリットをまとめますと、このようになります。

 

ベタ基礎 布基礎
費用 高い 安い
強度
湿気対策 防湿コンクリートなら、〇
メンテナンス性 防湿コンクリートなら、〇
不同沈下のリスク 低い 地盤が強い、もしくは改良してあるなら低い
ベタ基礎のメリットは、デメリットがほとんどないこととも言えますね。

 

基礎の構造の画像は、タマホームで家を建てた建築士「3級うんちく士」さんに作成頂きました!ありがとうございます!

 

布基礎は強度が低い?布基礎の3つの誤解

「布基礎はダメ!」

「ベタ基礎こそ最強!」

 

というブームのせいで、ずいぶん布基礎の立場は弱くなってしまいました。

ですが、ちがうのですよ。

イエス、マダム。

ベタ基礎にデメリットが少ないだけであって、「布基礎がダメ」、ということではありません。

正しく施工すれば、布基礎でも問題ないですよ。

「布基礎はダメだ!」というのは、おそらくひと昔前の布基礎のイメージが強すぎるからでしょう。

布基礎について次のような指摘がありますが、それは誤解でございます。

 

ベタ基礎の方が強度が優れている → どちらも強度は高い。

「布基礎とベタ基礎、どっちが強度があるの?」という質問に対して、

 

「地面全体で支える、ベタ基礎の方が強度が高い!」

 

という意見。これは残念ながら、ミスリードでございます。

イエス、マダム。

なぜなら基礎の強度は、構造の違いだけでは決まらないからです。

コンクリートの強度に影響するもの

・コンクリートの配合(水・セメント比)

・配筋の割合(どれだけ密度高く配筋したか?)

・丁寧に施工したか?(バイブレーション・養生方法、時間など)

基礎の強度は、つまりコンクリートの強度。

コンクリートの強度は構造(形)の問題というより、施工方法に影響されます。

 

ですので布基礎でも適切に施工されていれば強度に問題ないですし、逆にベタ基礎でも施工が雑なら強度が不足します。

「どっちがいいの?」にお答えするならば、「どっちも強度が高い」でございます。

ちなみに鉄骨系ハウスメーカー(大手ハウスメーカー)で布基礎が多いのは、「布基礎は局所的な荷重に強い」、というメリットがあるからです。

ただし一条工務店など木造ハウスメーカーで、布基礎が採用されている真意は不明でございます。

 

▽強い基礎のチェックポイントはこちら!

新築住宅の基礎の4つのチェックポイント!|強い基礎を見抜け!

2019.04.27

 

布基礎は湿気でシロアリ被害に遭いやすい → 湿気対策次第。

ひと昔前の布基礎は、シロアリ被害がひどかったです。

地面からの湿気で床板が腐り、地面がむき出しなのでシロアリが音もなくやってくる・・・。まさに地獄絵図でございます。

このイメージが強烈すぎるので、令和となった現代でも「布基礎?大丈夫なの?」と、あらぬ誤解を招いています。

 

ですが布基礎のシロアリ問題は、湿気対策しだい、と言えます。

布基礎の湿気対策

・防湿シートをはる。

・防湿コンクリートをうつ。

きちんと湿気対策していれば、問題になることは少ないです。

大手ハウスメーカーの布基礎のほとんどは、「防湿コンクリート+防湿シート」で湿気を防いでいます。

地面と直接触れないので、床下環境はベタ基礎と変わりません。

 

・・・ただし!

 

湿気対策が防湿シートだけのハウスメーカーには注意が必要です。

なぜならシートに隙間があると、そこから湿気が漏れてしまいます。さらにシートは破れやすく、床下に潜るのも難しい状況に。

床下に安心して潜れないと、異常の発見が遅れてしまいます。

床下はクリーンな環境、つまり防湿コンクリートがおすすめです。

 

布基礎だから、不同沈下しやすい → しっかり調査していれば問題ない。

家の重みを面で支えるベタ基礎は、布基礎に比べて不同沈下のリスクが少ないです。

不同沈下とは?

不揃いに地盤が沈むこと。軟弱地盤や、土地の地盤の強さがまばらな土地で起こりやすい。

不同沈下することで、建物が傾いてしまう。

点(線)で支える布基礎は、ベタ基礎よりも地盤の強い土地でなければ施工できません。

そのため「軟弱地盤でも問題ない、ベタ基礎の方が安心!」という神話が生まれてしまうのです。

 

ですがちょっとお待ちください。

たしかにベタ基礎なら軟弱地盤でも施工できます。

ですが布基礎でも地盤調査の結果、「問題なし」なら、問題はありません。また地盤改良すれば、布基礎でも問題はないケースもあります。

さらに布基礎の凸の底(フーチング)を広くするやり方もございます。

ですので、「布基礎だからダメ」、ということはありません。

 

ベタ基礎をおすすめする理由は、デメリットが少ないから。

布基礎だって、きちんと施工していれば問題はありません。ですので布基礎・ベタ基礎、どちらでも地盤・家の設計にあったものであれば、問題はないのです。

 

・・・なんですが。

 

もし可能であれば、ベタ基礎をおすすめさせて頂きます。

といいますのも、ベタ基礎の最大のメリットは「デメリットが少ないこと」なんですよね。

つまり「強度・性能が同じ程度であれば、多少高くなってもデメリットの少ない方を選んだ方がいいのでは?」という考えです。

 

あらためてベタ基礎、布基礎のメリット・デメリットを比較してみると、

ベタ基礎 布基礎
費用 高い 安い
強度
湿気対策 防湿コンクリートなら、〇
メンテナンス性 防湿コンクリートなら、〇
不同沈下のリスク 低い 地盤が強い、もしくは改良してあるなら低い

ベタ基礎のデメリットって、価格が高いだけではないでしょうか?

ベタ基礎がオプション扱いの場合、費用は+30~50万円ほどかかる場合が多いです。

 

家の基礎はあとからリフォーム・修理が難しいので、新築のときにケチるところではないのかなと。

であれば、ベタ基礎が選べるなら、最初からベタ基礎を選んでもいいのかなと思っています。

予算を抑える目的で布基礎を選ぶのはおすすめしません。

予算を抑えるなら、間取り・内装で調整する方がいいですよ。

 

ただし「ベタ基礎だから強度が強い!」ではない。

ベタ基礎が選べるなら、ベタ基礎を選んだ方がデメリットが少ないのでいいかなと思います。

ですが「ベタ基礎だから安心!」ではございません。

ベタ基礎・布基礎、ともに基礎の強度は次の影響を大きく受けます。

配筋のピッチ(基礎の強度に関係)

コンクリートのかぶり厚(基礎の寿命に関係)

アンカーボルトの設置(土台の固定に関係)

「ベタ基礎だから安心!」ではなくて、あくまでも「ベタ基礎の方がデメリットが少ないよ」というだけです。

ですのでハウスメーカーの営業マンで、

上司
うちはベタ基礎だから安心ですよ!

と言うのは、ちょっと違います。

・配筋のピッチ(密度)は?

・配筋の太さは?

・基礎の立ち上がり幅は?

・土台の固定方法は?

ベタ基礎でも配筋が細く、立ち上がり幅が基準ギリギリでは安心できません。

大切なのは「ベタ基礎 or 布基礎」ではなく、

どんなスペックの基礎を

どのように施工したか?

で、ございます。

とてもマニアックな結論になって恐縮ですが、本当にコレが大切なのですよ。

 

まとめ:どっちも安心。でもどっちかと言えば、ベタ基礎が安心。

この世にベタ基礎と布基礎がある限り、「どっちが安心?論争」は永遠に続くでしょう。

しかし結論としては、「ベタ基礎・布基礎、どっちも安心」というのがベストアンサーでございます。

ただし、「金額以外に大きなデメリットのないベタ基礎の方が、選んでおいた方が安心かな」、という状況です。

ベタ基礎・布基礎のベストアンサー

・正しく施工すれば、どっちも安心。

・ただし、ベタ基礎の方がデメリットは少ない。

ハウスメーカーによって、基礎の標準仕様はちがいます。

もちろん「ベタ基礎 or 布基礎」も違いますし、そのほか細かいスペックも全然ちがいますよ。

もし気になっているハウスメーカーの基礎が気になるようでしたら、他社と仕様を見比べてみるのも1つ。

複数のハウスメーカーを比較するときは、1回の入力で間取り・見積りを提案してもらえる「タウンライフ注文住宅」が便利です。

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ぜひ後悔のない家作りを。

 

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