こんにちは。
「地元で評判の工務店と契約しようと思ってるけど、工務店ってデメリットってないのかな・・・?」
・・・マダム、さすが鋭いご指摘ですね。
おっしゃる通り、工務店との契約はメリットだけでなく、デメリットもございます。
家作りが規格化されたハウスメーカーと比較すると、工務店での家作りは「やや玄人向けかな?」という印象です。
ですのではじめて家作りにチャレンジする方は、工務店の特徴・メリット・デメリットを知ったうえで契約にすすんで頂ければと思っております。
この記事では工務店の気になる、
・特徴。
・メリット/デメリット。
について解説させて頂きます。
工務店との契約は、逃げていきません。契約する前に、どうぞこの記事を最後までお読みくださいませ。
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工務店の特徴 どんな種類がある?
工務店とひとくくりにいっても、工務店は大きく3つのタイプに分けられます。
1・少人数の町の工務店。
2・ハウスメーカーのフランチャイズを請け負っている工務店。
3・工務店とはいっても、自社では施工しない工務店(地元ビルダー)
3つの工務店の特徴を、それぞれ解説させて頂きます。
1・少人数の町の工務店。
「社長+数人の大工&事務員」で構成される少人数の工務店は、いわゆる昔ながらの町の工務店。
いわゆる「工務店」と聞いたときに連想するのは、この少人数の町の工務店ではないでしょうか?
町の工務店にも、それぞれ得意分野があります。
・新築の注文住宅が得意。
・大手ハウスメーカーのFC(フランチャイズ)を請け負っている。
・分譲住宅が得意。
・リフォームが得意。
少人数でサポートできる範囲が限られるため、依頼するときは得意分野の範囲内でお願いしたいところです。
また少人数の工務店は、社長の考え方が色濃く反映されることが強く、大手ハウスメーカーよりも個性的な会社が多いです。
2・ハウスメーカーのフランチャイズを請け負っている工務店。
工務店のなかには、大手ハウスメーカーのフランチャイズ(FC)に加盟している工務店もあります。
FCに加盟している工務店は、大手ハウスメーカーが開発した工法・規格・資材で家を建てます。
そのため工務店の特徴というより、加盟しているFCの特色が強く反映されるのが特徴です。
もちろん、FCの請負だけでなく、自社オリジナルの注文住宅もやっている場合もあります。
ただしFCへの依存度が高い工務店では、
・自社の技術力が低い。
・マーケティングができていない。
・顧客目線に乏しい。
などの問題もございます。
3・工務店とはいっても、自社で施工しない工務店(地元ビルダー)
工務店も規模が大きくなると、自社は営業・設計・開発だけ行う、ハウスメーカーのような立ち位置になります。
全国展開まではしてなくとも、特定の地方にモデルハウス・営業所を構えていることから、「地元ビルダー」と呼ばれることも。
地元ビルダーは工務店とハウスメーカーのよさをあわせ持ち、工務店のようなサービスでハウスメーカーの品質の家が建てられるのが大きな魅力です。
ただし工務店・地元ビルダーの明確な定義はなく、人によって判断が分かれるところです。
地元ビルダーは「いわゆる町の工務店」というより、ハウスメーカーの性格が強いので、この記事では「地元ビルダー=ハウスメーカー」とさせて頂きます。
▽工務店とハウスメーカーのよさをもつ、地元ビルダーの魅力はこちら!
工務店の4つのメリット
「工務店のメリットは、いい家が建てられること!」
というのは間違いではありませんが、いささかざっくりしすぎでございます。
工務店のメリットを細かくみてみると、次の4つになります。
1・ハウスメーカーより建築費が2~3割安くなる。
工務店のメリットは、ハウスメーカーより建築費が2~3割安くなることです。
工務店では大手ハウスメーカーのようなコストがかからないため、その分建築費を安くできます。
・下請け業者への中間マージン。
・芸能人を起用した、億単位のお金がかかるテレビCM。
・年間数千万円の、モデルハウスの運営費。
・最新技術の開発費。
これらの費用は、家作りに直結する費用ではありません。
テレビCMにいたっては、完全に集客するための費用です。誠実そうな芸能人とスポンサー契約しても、家作りが誠実であることとは関係ありませんからね。
ただし、注文住宅の年間棟数が少ない工務店では、逆に建築費が上がってしまうこともあります。
「ハウスメーカーは高い」とはいっても、資材の大量仕入れで安く仕入れています。
しかし小さな工務店では安く仕入れることができず、建築費が高くなってしまうのです。
2・担当者が変わらない安心感。
大手ハウスメーカーでありがちなのが、
「この営業さんなら信頼できる!」
「この担当者と一緒に家作りがしたい!」
と思って契約したのに、その肝心の営業マンが転勤でいなくなってしまうことです。
転勤でなくても、契約した途端に別の人に引き継がれることもあります。
はて、私は一体なぜこのハウスメーカーと契約したのか?払った手付金100万円が悔やまれます・・・。
ハウスメーカーの担当者が変わってしまう問題。これはかなり深刻な問題だったりします。
・契約した途端、別の人に引継ぎされる。
・家作りの最中に、担当者が変わる。
・アフターフォローは、別の会社が担当。
規格化された家作りが魅力とはいえ、これでは血も涙もない対応ではありませんか?
・・・ですがご安心くださいませ。その点、少数精鋭の工務店なら、あなたが信頼した担当者は、この先もずっと担当してくれます。
なぜなら転勤するほど全国展開してませんし、途中で担当が変わるほど人的リソースが豊富ではないからです。
企業としてはいたらない点でしょうが、サービスを受ける私たちからすれば、この上ない極上のサービスですよね。
この安心感、ハンパないですな・・・。
3・地域に密着しているので、連絡したらすぐに駆け付けてくれる安心感。
地域に密着している工務店のメリットは、なにかトラブルがあったらすぐに駆け付けてくれる安心感です。
いわゆる町の工務店は、あなたの近くに事務所があるので、困ったことがあれば、すぐに駆け付けて対応してくれます。
・追加工事、変更などの対応が早い。
・工事で必要な修正をすぐにしてくれる。
・アフターサービスの対応が早い。
「近くに事務所がある」というのは、思っている以上に大きなメリットなのです。
ですが、あなたはふと思いませんでしたか?
「これらなハウスメーカーも近くに事務所があるから、工務店と一緒なのでは・・・?」
・・・イエス、おっしゃるとおり、ハウスメーカーも事務所(営業所)だけなら、あなたの家の近くにあるでしょう。
ですがハウスメーカーは営業所やモデルハウスが近くても、サービスをする下請け業者が遠方、ということもあります。
また工場での生産が主流なハウスメーカーでは、必要な資材を取りよせるのも時間がかかるときもございます。
これのどこが「すぐ」なのでしょうねぇ・・・(怒)
家作りでは、お互いの信頼関係が大切です。小さな約束を破られることが続けば、信頼関係も揺らいでしまいます。
「事務所に近い」ことは、あなたが感じる以上に大きなメリットなのですよ。
4・ハウスメーカーの家作りより、柔軟にプランに対応してくれる。
工務店の魅力は、ハウスメーカーよりも柔軟にプランに対応してくれることです。
「柔軟に対応」といいますか、工務店ではそもそも標準的なプランがなく、完全なオーダーメイドの注文住宅になります。
そのためあなたの細かい希望も反映しやすく、「理想の家を作るなら、工務店!」と言われるのも納得です。
ただし工務店によって得意分野があるように、あなたの希望の間取りプランが得意(実績がある)な工務店でなければいけません。
打合せを重ねるうちに、長年やってきた「ありきたりの工法・プラン」に落ち着いてしまうこともございます。ご注意くださいませ。
工務店の5つのデメリット
工務店での家作りをおすすめする建築士・業界関係者も多いです。
たしかに希望の間取りに柔軟に対応してくれるのは工務店であり、その意味では工務店は最強かもしれません。
ですがご注意くださいませ。
工務店のメリットも、裏を返せば、
「ただし○○な工務店に限る」
と注意書きが必要なデメリットを抱えております。
1・ハウスメーカーより高い倒産リスク。
工務店で注意すべきデメリットは、倒産リスクです。
ハウスメーカーより会社規模の小さい工務店は、それだけ倒産リスクが高く、注意しなくてはいけません。
でも倒産リスクといっても、「工務店が倒産して、なんのリスクがあるの?」と思いませんか?
おっしゃるとおり、契約も結んでいない工務店が倒産しても、それはあなたにまったく関係のない話。
でもちょっと考えてみてください。あなたが契約して、家作りがはじまった工務店が倒産してしまったら・・・?
「人生が詰む。」
工務店の倒産による被害を表現する言葉で、これ以上の言葉を私は知りません。
▽倒産リスクは本当に恐ろしいです。
2・工務店ごとの当たり外れが大きい。
工務店のデメリット、それは工務店ごとの当たり外れが大きいことです。
工務店の家作りはハウスメーカーのように規格化されていないので、工務店ごとの技量に強く影響されます。
そのため昭和の価値観のまま、なにも勉強をしない工務店もいまだに存在しており、欠陥住宅をとおり越した欠陥住宅が建てられることもあるのです。
・床が傾いているのだが? → これぐらい普通だ。
・筋交いがないのだが? → ここはなくていい。
・気密性がないのだが? → 家は換気してナンボ。気密したら家が死ぬわ!
いえ、もう、会話ができません。こうなってしまっては手遅れなので、契約する前にダメ工務店を見抜かなくてはいけません。
3・自由な間取りプランが実現できる → ただし腕のいい社長のいる工務店に限る。
工務店のメリットは、自由な間取りプランが実現できる、とご説明しました。ですがこれは、
「ただし、腕のいい社長のいる工務店に限る」
というただし書きが必要です。
もちろん、工務店ですので決まった標準プランはありません。あなたの希望の間取りプランに柔軟に対応してもらえるでしょう。
・・・ただし、腕のいい社長のいる工務店でしたらね・・・。
あなたのプランに柔軟に対応しようと思っても、知識や技術が追い付かないかもしれません。
必死に希望に寄り添おうとしても、出来上がった間取りはムチャクチャかもしれません。
気持ちだけは寄り添ってますが、出来上がった家は残念な欠陥住宅。技量に差が大きい工務店では、このような悲劇が起きてしまうのです。
4・ハウスメーカーよりも工期が長くなりがち。
工務店での家作りのデメリットは、ハウスメーカーよりも工期が長くなってしまうことです。
これは「ハウスメーカーよりも工務店は丁寧に作業をしているから!」という理由ではありません。
・ハウスメーカー:家作りが規格化されており、工場での生産が多い。
・工務店:オーダーメイドの家作りで、現場作業が多い。
どうしても工務店では現場作業が多くなり、家作りの工期が長くなってしまうのです。
最近では木材のプレカットだけでなく、断熱材の施工や組立の一部まで工場で行うハウスメーカーも増えました。
工場での生産は、早くて正確です。だれが作業をしても間違いにくく、チェック体制も万全です。
家は職人気質の大工が建てるイメージが強かったですが、令和の時代は工場でつくる工業製品になるかもしれません。
5・工務店を探す/選ぶのは、ハウスメーカーよりも大変。
工務店のデメリットは、工務店を探す/選ぶのがハウスメーカーよりも大変なことです。
全国展開し、年間何棟も建築しているハウスメーカーは公開されている情報も多く、じっくり検討できます。
しかし地元密着の工務店は公開されている情報が少なく、限りある情報の中で検討するしかありません。
だれしも腕のたしかな工務店と契約したいと思うもの。
ですが技術力がある工務店が、地元にあるとは限らないのですよ。
▽工務店選びの難しさについては、こちらで解説しています。
まとめ:メリットを活かせば、いい家が安く建てられる!
「ハウスメーカーでの家作りは、本当の注文住宅じゃない。家を建てるなら、やっぱり工務店だ。」
・・・イエス、そのお気持ち、よく分かります。
標準プランから選ぶだけのハウスメーカーの家作りは、「本当にオーダーメイドか?」と言われたら、胸を張ってイエスと言えません。
ですので「自分の希望の家を建てるには、腕のいい工務店に依頼するのが一番だ」、というのは的を得ているのです。
ですが、やはり工務店にもデメリットはございます。
メリットだけでなく、きちんとデメリットを知っておかないと、契約してから「こんなはずでは・・・」と後悔するかもしれません。
いえ、後悔だけですむならまだいいですよね。欠陥住宅を通り越した欠陥住宅を作られてしまったら、文字通り「人生オワタ」でございます。
工務店選びこそ、慎重に。
素敵な家作りを。それでは、また!
社長との相性も大切でございます。