こんにちは。
営業マンの給料で、経営者の頭を悩ますのが歩合制ではないでしょうか。
営業マンのやる気を引き出すためには、歩合制が一番でございます。
目の前にニンジンをぶらさげたら、どんな営業マンだって一生懸命に走りますとも。
しかし、給料を歩合制にすれば、会社の売上は伸び、利益も増え、社長様は海外へ・・・と、なりますでしょうか?
歩合制には、経営者にとってメリットしかないように感じますが、実はデメリットもございます。
この記事では、営業マンに歩合制を導入しようか検討している経営者のために、歩合制のメリット・デメリットを解説して参りたいと思います。
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この記事の概要
営業に歩合制を導入するメリット。
もはや解説不要かと思いますが、改めて歩合制のメリットについて解説させて頂きましょう。
営業マンに歩合制を導入するメリットは、次のようなものがあります。
営業マンのモチベーションアップ。
歩合制のメリットは、導入することで営業マンのモチベーションが上がることであります。
歩合制とはつまり、目の前にぶら下げたニンジンでございます。私もそうでしたが、「これだけ売ったら、給料が増える!」と目に見て分かると、ものすごくやる気が出るのですよね。
ヨダレが止まりません、ぐしししし・・・(電卓ぽちぽち)
貰える給料を妄想しては、電卓をはじく。これが実に楽しいのですよね。
営業コストを抑えることができる。
歩合制導入の本来の目的は「営業マンのモチベーションを上げて、売上をアップさせる」ことですが、その二次効果として、営業コストを下げるメリットもございます。
歩合制を導入する場合、多くは基本給を下げる形になります。
そのため、売らない(売れない)社員にとっては、従来の給料よりも下がる場合もあるのです。
これは何かの間違いでしょうか。い、異議ありッ!!!
歩合制の導入は、それまで売れなかった営業マンへの給料を適正に見直す効果(コストカット)もございます。
働く人にとっては戦々恐々ですが、経営する側としては実に合理的なシステムですよね。
営業に歩合制を導入するデメリット。
メリットがたくさんあると思われがちな歩合制ですが、実はメリットは上記2つしかありません。
それぞれのメリットの効果は大きいのですが、それと負けじと劣らずデメリットの存在も大きいのです。
営業マンに歩合制を導入するデメリットは、次のようなものがあります。
求人を出しても、人が集まらない。
歩合制の致命的なデメリットは、求人を出してもなかなか人が集まらないことでしょう。
営業マンが集まらない、と悩む原因は、もしかしたら歩合制の給料が原因かもしれません。
と言うのも、歩合制は営業マンにとって、とても精神的に負担なシステムなのですよ。
営業マンが働く目的は、「売ることで世界を平和にしたい」という崇高な目的かもしれませんが、大部分が「食べるために働く」という超リアリティな目的で働いております。
ですので、求人票に歩合制と書いてあると、正直ビビるのですよ。
まったく売れなかったら、家族が路頭に迷ってしまうであります。・・・イヤであります。
営業マンと言えど、会社に属する以上、安定を求めます。過度な歩合制は営業マンが寄りつかなくなる原因になってしまいます。
お客さんの声が聞こえにくくなる。
また歩合制のデメリットは、時としてお客さんの声が聞こえなくなってしまうことであります。
歩合制のメリットは、営業マンのやる気スイッチを押すことなのですが、その一方で「売るぞ」という気持ちが行きすぎて「売ってやる!」と顧客目線を欠いた営業をしてしまう危険があるのです。
・・・いやいやいや、そんなこと言わずに買って下さいませ。歩合制の給料だから、買って下さらないとマジで困るのですよ!
歩合制によりやる気スイッチを押されても、営業マンのやる気がお客さんの利益に向いていなければ、それは逆効果でございます。ただのウザい営業マンでございます。
歩合制を導入することにより、
・売れればいい、という社風。
・いらない商品でも、無理にでも売りつける。
・お客さんの欲しい商品よりも、売りたい商品を売る。
という危険があるのでございます。
もちろん、全ての営業マンが歩合制により、このような行為に走る訳ではありませんが、私は一営業マンとして、この気持ちはよく分かりますよ。
取引件数の歩合制は、継続的な取引・長期的な取引が難しい。
そしてさらに、歩合制を導入することで、営業戦略が短期的・近視眼的になるデメリットがございます。
特に新規取引件数による歩合を設定している場合、この危険が濃厚になるでしょう。
なぜなら、歩合による成果(新規取引)を目指すあまり、継続的な取引、長期的な取引を軽視してしまうからです。
歩合による給料をもらう営業マンとしては、給料がすぐに増えない長期的な取引をするよりも、瞬間風速的な新規取引を優先してしまいます。
・・・え?売上ですか?ははー、売上ですね~・・・ふ~・・・(遠い目)
売上を上げるためには、新規顧客の獲得はもちろん大切ですが、それ以上に既存客のフォローが大切です。
商売をより深く、深くしていくことで、売上を伸ばすことができるのです。しかしこの営業、実に地味で評価されにくいのですよね。
そのため華々しく評価されやすい新規取引件数で歩合を評価してしまうと、継続的・長期的な取引が難しくなり、売上が思うように伸びなくなってしまうのです。
営業に歩合制を導入するなら注意したいこと。
営業マンの給料に歩合制を導入するメリット・デメリット、いかがでしょうか。
それを踏まえますと、歩合制の導入には次のような評価方法がおすすめでございます。
年間の売上(利益)での年俸制がおすすめ。
営業マンの歩合制は、月単位での成果報酬が一般的ですが、年単位での年俸制がおすすめでございます。
なぜなら年単位での歩合制にすることで、長期的な営業戦略を立てて実行することができるからです。
月単位での歩合制では、「月内に売り切る!」と追い込みがかけられる一方で、営業戦略は近視眼的になってしまいます。つまり、言い方は悪いですが、その場凌ぎの連続になってしまうのですよね。
え?来月の目標と戦略?いや、そんなことより、今月のあと3台を売らねば・・・。
もしもノルマと称して営業マンを追い詰めているなら、さらに営業マンの視野は狭くなってしまうでしょう。
ですので、歩合制を導入するなら長期的な年間での売上(または利益)がおすすめでございます。
年間での売上目標を達成するには、緻密な計画と確実な実行力が必要不可欠でございます。
そして何より、お客さんによりそった「顧客目線」がなければ、年間売上目標を達成することは不可能でしょう。
年間売上での歩合制は、過度に営業マンを追い詰めることもなく、野放しにすることもありません。
手の届く目標で、少額の歩合がおすすめ。
また歩合制を導入する際、「売れすぎて給料払えなくなったらどうしよう」と危惧される経営者もいらっしゃるでしょう。
分かります、分かりますよ、そのお気持ち。だって歩合って聞いただけでスイッチ入る営業マンとかマジで怖いですものね。
しかしご注意下さいませ。
歩合の導入で給料増加を恐れるあまり、歩合の成果ハードルを高くしすぎると、それは逆効果になってしまいますよ。
・・・完全に無理ではないですか、やるだけ無駄であります。ぷい・・・
高すぎるハードルは、飛ぶ気すら失せるのが常でございます。
ですので、うまく営業マンをおだててハードルを飛ばせるには、「手の届く目標で、少額の歩合」がおすすめでございます。
つまり、ちょっと頑張ればすぐ成果が発生し、確実に給料が増える仕組みでありますね。
さらにもう少しで新規取引獲得で、さらに1000円アップでございます。ぐしぐし
営業マンのやる気を引き出すには、手を伸ばせば届くところにニンジンをぶら下げるのが効果的でございます。
芸をするたびエサを小出しにするアシカショーのように、営業マンの歩合も小出しがお勧めでございますよ。
まとめ:歩合制の導入は慎重に!
それでは、まとめよう!
営業マンに歩合制を導入するメリット・デメリット、そして導入するときの注意は次の通りでございます。
【メリット】
1・営業マンのモチベーションアップ。
2・営業コストを抑えることができる。
【デメリット】
1・求人を出しても、人が集まらない。
2・お客さんの声が聞こえにくくなる。
3・継続的、長期的な営業が難しくなる。
【歩合制を導入するなら】
1・年間での年俸制がお勧め。
2・手の届く目標で、少額の歩合がお勧め。
伸び悩む売上を解決しようと、営業マンの給料に歩合制を導入するのは有効な手段でございます。
しかし歩合制の給料は、メリットだけでなくデメリットもありますので、注意が必要ですよ。特に「売れればいい」という社風になる危険は、大切な顧客を失うリスクもあります。
また歩合制でのハードルをあまりにも高くしてしまうと、営業マンは飛ぶ気すら失ってしまいます。
やる気に火をつけようと思って導入したのに、逆にモチベーションを下げる結果になってしまいますよ。
歩合制は使い方によっては薬にもなりますし、毒にもなります。
ぜひ慎重に検討し、最高のパフォーマンスができる営業組織を作りましょう!
それでは、また!
「営業マンをGPSで監視すれば、売上が増えるはず・・・。」
しかしご注意くださいませ。GPSは使い方を間違えると、社員の離反を招いて終わってしまいますよ。
営業は小手先のテクニックを学ぶより、根幹となる営業マインドを徹底させる方が100倍効果があります。
むしろ、歩合制を導入する前に、しっかりと歩合制のデメリットを知る必要がございます。